花火は空に咲くというけれど
容易く咲いているわけではないのがわかる
地上を這うようにして激しく走り
発火して爆発して激しさの末に空に打ち上げる光の道
その光をずーっと一緒に辿って行くと
空に咲く花火に出会えるのである
それは空に昇って行くみたいに
今は亡き何者かに触れられるような心地にさえ誘われる
大切な人はいるか
大切な人はいたか
何度も何度も確かめて
そのぬくもりを思い出して刻み付けて焼き付けるんだ
全身で浴びるように感じるのが最高である
ときどき寝そべって見ちゃいなよってことさ
嗚呼、火の粉が降って来る
咲き終わりに空は地上に何かを生み落とすのかもしれない
地上の発火は激しさを増して
白い大陸のように広がっていった
琥珀色の美しい花火に恋する白い獣のように
なんだか映画の一場面を見ているみたいだった
素敵である
嗚呼、白い獣よ
恋しているのかい!そうなんだな!とわたしは勘づいていた