人の気配の薄らぐ様子ありて
辺りを見回すと
紅色の花がしっとりと咲いていた
様子が気になり、傍へ寄ってみると
今まさに飛んで来た蝶が
視界の端から中央へと身を寄せ花に辿り着いた
すると、わたくしの血潮に異変が、、
瞬く間に、血潮が動き出す、流れ込んでくるような
これは、なんというか
蘇生かもしれないと思った
人の気配のある道に戻り、また歩を進めた
陽のあたる場所とは、このことでありましょうか
眩いもので
目に飛び込んでくる紅色が、光の艶を纏って見えた
格式ある緑の中で
妙に、手の届かない存在のようにも見え
だが、手に触れてしまう衝動は止められはしないだろう
思い巡らしながら行く道に
飛び石が敷かれていた
陽は、真っすぐ飛び石に降りて来て
足を乗せてごらんと、際立つ白と黒は鍵盤みたいに見えた
嗚呼、楽しや
全部を通ることも、どこかを選び抜いて
飛び越えていくことも、見えていた
だからこそ
思いもよらない奏法をあみだせるのだと思った